事情は詳しく聞けなかったが、
息子が養子だってことは一目で分かったそうだ。
「300万用立てて。そしたら息子さんには黙っててあげるから」
そうぬかしやがった。
ため息が出た。
引き取った時、息子はもう6歳だった。
が、たまたま縁があって出会い家族になった。
そんな息子に何を言われても恐れることはない。
警戒していた俺は常に胸ポケットにボイスレコーダーを忍ばせていた。
「息子は全て知ってる。何を言ってくれても構わない。それからこれ」
と言ってボイレコを見せた。
元嫁は下品な化粧で醜い顔をもっと醜く歪ませて去って行った。
ポケットの中で拳が震えてた。
元嫁にはひとつだけ感謝している。
よくぞ離婚を切り出してくれた。
かつて結婚までした女が糞になってるのは気分悪いだろうな